那須正幹さんの『ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』のこと。

北の某国からミサイルが飛んでくるかもしれない昨今ですが、正直、どのくらい怖いことなのか、私は実はよくわかっていなかったりしています。さすがに飛んでくるのが核兵器搭載のミサイルだと、かなり大変な事態が想定できるわけですが、具体的にどんな感じになるのかはあまり想像できないような気がしていました。でも、那須正幹さんという方の書いた作品集『ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』(2015年、ポプラ文庫)の表題短篇小説を読んで、ちょっとミサイル着弾後の光景が目に浮かぶようになりました。那須正幹さんといえば、実は「ズッコケ三人組」シリーズの作者でもあったりします。児童文学作家で、軽妙な作風の長編シリーズを得意としている方です。しかし、今回読んだ『ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』のような、シリアスで鋭い作風の短編もじつはたくさん書いているのです。どうやら最初は、1984年に『六年目のクラス会』という題名で出た作品集なのですが、復刊に際してクラス会の話ではなく、「ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」(世界の終わり)という核戦争テーマの作品を前面に押し出したタイトルに変更したようなのです。物語は少年が両親と核シェルターにいるところからはじまります。地上の核汚染から逃れた家族でしたが、飲料用の地下水から放射能が侵入し、少年の両親は死んでしまいます。少年はアマチュア無線の機械で、なんとか生き残っている人と連絡を取ろうとします。でも、だれも答えない。あきらめずに少年は電波で呼びかけ続けていると、不意に、少女と無線が繋がります。そして、少年は彼女に会いに行くために、シェルターから核汚染された地上に出て、自動車を運転して旅に出るのです。恐ろしい情景も余すところなく描写されますが、最後のシーンはなんとなく希望がほのめいているような気もする終わり方です。もちろん、書かれた当時のように、世界は2大国による冷戦状態ではありませんが、いまだに大量の核兵器は存在していて、半島の北では日本も射程にあるミサイルがこちらを向いているのかもしれない。なんだか児童文学ではありますが、今回『ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』という作品を読んで、気持ちが引き締まった感じがしました。都度払い 全身脱毛